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墓石




武者小路千家7代直斎の娘婿樋口道立とその一族の墓石です。樋口道立は名を源左衛門といい、川越藩京留守居役で、当時、京都で活躍していた著名な文化人を記した『平安人物士』の学者の項に阮道立としてあげられています。

 茶の湯を直斎に師事し、名取河香合の六つ半の一つを所持していました。直斎亡き後、次代家元一啜斎に師事しています。なお、道立は茶湯のみならず、俳諧も嗜み、与謝蕪村に師事して、蕪村が金福寺に芭蕉堂を建立するときに資金面で多大な貢献をしています。

 樋口家は幕末以降所在が不明となりますが、吉田山の極楽寺にはその位牌が祀られています。極楽寺も明治初年の混乱で規模を縮小し、今日、道立とその一族の位牌が数基残されているのみで、過去帳など樋口家に関する資料は何もありません。

 今から15年以上前に機関誌の執筆で極楽寺に訪ねた時に道立とその一族の墓を無縁墓で見つけました。今は一箇所に集められて祀られています。

 一翁の妻の墓石を見つけ出した時もそうでしたが、文書は焼けるとこの世から消えてしまいますが、墓石は火にも耐え、私たち後の時代の者に多くのことを伝えてくれる貴重な資料です。

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