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茶の十徳

4年前の4月から約1年間、"お茶のスペシャル・イヤー"として京都府南部、宇治茶のふるさと12市町村を舞台に「お茶の京都博」が催されました。そして1年間にわたるイベントを締めくくりとして木津川市のアスピアやましろでテイクオフパーティーが行われました。その茶席を担当しました。その床に掛けた掛け軸が一指斎が認めた栂尾の高山寺を開山した明恵上人の「茶十徳」です。



 諸佛加護 五臓調和

 孝養父母 煩悩消除

 寿命長遠 睡眠自除

 息災延命 天神随心

 諸天加護 臨終不乱

 依求

  一指斎書

     (花押)


明恵上人は建仁寺の開山栄西禅師が南宋から持ち帰った茶種を譲られて、高山寺で茶の種を栽培し日本に茶文化が広まるきっかけを作りました。茶十徳は茶を飲むことの効用を十ヶ条に著したものです。

明恵上人は栂尾から宇治に茶栽培を広めたとされています。そのエピソードに馬の蹄の逸話があります。





   萬福寺総門


明恵上人から茶の木を与えられた宇治の里人が茶の種をどのような間隔で植えたらよいのか悩んでいると、明恵上人が宇治五ケ荘大和田で畑に馬を乗り入れ、馬の蹄の跡に植えるよう教えたと伝えられています。その茶園が駒蹄影園(こまのあしかげえん)で、その顕彰碑が萬福寺の総門前に建てられています。駒蹄影園碑には、


 栂山の尾上の茶の木分け植ゑてあとぞ生ふべし駒の足影 



の和歌が刻まれています。この駒蹄影園が宇治茶のはじまりとされています。康暦元年(1379)に足利義満が宇治茶の栽培をするために「宇治七名園」と呼ばれる七つの指定茶園を作り、その後一層茶栽培が盛ったのです。

茶十徳の内容は、茶を飲むことにより、諸佛の加護を得て、茶に含まれるタンニンやアミノ酸等が体のバランス維持して五臓を調和させます。その深い味わいは人の心を素直なものにして父母への孝養の心を育みます。また、わずらわしい世事の疲れを忘れさせ、日々を健康に過ごさせて寿命を延ばします。そして神経の機能を活発にして睡魔を除き、毎日を元気に暮らせます。茶を飲むと無心で純真な心、すなわち神の心に叶う心境となり、神仏に護られて穏やかに臨終を迎えることができるとのことです。


  大徳寺大綱宗彦筆 明恵上人名号

   「お茶の京都博」テイクオフパーティー呈茶席

   京都府前山田啓二知事とともに



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