• 木津宗詮

あやめ



ほととぎす鳴くや五月のあやめ草

あやめも知らぬ恋もするかな


 『古今和歌集』の恋歌360首の先頭を飾るよみ人知らずの歌です。ほととぎすが鳴いているよ。そんな五月に美しいやめが美しく咲いているのだけれど、物事の道筋を見失ってしまうような恋をしていることだ。

 「綾目・文目(あやめ)」とは前に垂れ下がった花びらに細かな網目模様があることからの名称です。この歌は事の道理や道筋を表す「あやめ」という言葉が掛けられています。相手のことが恋しくて恋しくてどうにもならないぐちゃぐちゃな恋をしている悶々とした心を詠んだ歌です。

 「綾目」の仲間には、「杜若(かきつばた)」と「菖蒲(しょうぶ)」があります。文目は記したように紫、または白い花びらに細かな網目模様があり陸に咲きます。「杜若」は湿地に群生し、紫色の花びらの中央部に白ないし淡黄色の斑紋があります。「菖蒲」は「花菖蒲」のことで同じく湿地に赤紫色の花びらの基部に黄色のすじが入っています。なお、単に「菖蒲」といえば端午の節句に軒を葺いたり、風呂に入れる「菖蒲」のことです。花も他の三つとは比較にならない地味なもので、葉よりも短く低い位置に花がつきます。いずれも直立した剣形の葉をしています。なお、菖蒲はサトイモ科で他の三つはアヤメ科のまったく違う植物です。ただし古くはこれら四つの総称として「あやめ」と呼ばれていました。

 京都鶴屋の「あやめ」は黄餡を紫色のこなしで上部が出るように包み、筋状のいも餡を三ヶ所に置いて茶巾絞りにしたまことに上品なお菓子です。

このお菓子を見て「あやめと」感じる日本人の感性本当に素晴らしいです!


綾目・文目・あやめ


杜若・かきつばた


花菖蒲・はなしょうぶ


菖蒲・しょうぶ





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