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契ありてけふ宮川の夕かつら長き代まてもかけてたのまゆ

定家卿

契ありてけふ宮川の夕かつら長き代まてもかけてたのまゆ

               柳斎書


神宮古材茶杓

定家卿和歌 契ありて云々

             卜深菴(花押)




癸酉御遷宮記念茶杓 廿ノ内




こちらも前々回の式年遷宮の記念の茶杓です。祖父で卜深庵五代柳斎が藤原定家の和歌わ銘にした茶杓です。

『新古今和歌集』に、


おなじ時、外宮にてよみ侍りける

契りありてけふみや河のゆふかづら

永き世までにかけてたのまむ


前世からの因縁があって、今日伊勢の外宮に参ることができた。木綿鬘(ゆうかずら)をかけ、永く続く将来の世までもご加護を頼み申そう。

宮川は伊勢国の歌枕で、外宮の近くを流れ、外宮の象徴とされました。宮川の「み」に「見」の意を掛け、「かけて」は木綿鬘の縁語で、神事が行われことを示しています。伊勢参詣をめでたい巡り合せとし、その縁を力として神の加護をつよく請い願う心を表しています。

建久六年(1195)二月に伊勢の神宮の勅使となった藤原良経に、定家は従って伊勢に下り、外宮に参詣した時の作です。時に定家三十四歳でした。

なお柳斎は「木綿鬘(ゆふかづら)」を「夕かつら」と当字をしています。

東園基文の「あけほの」同様、宇治橋の古材で作られたものです。


なお、家元の第一回目の内宮神楽殿での献茶の折に柳斎が副席を担当しました。その時に書付したものです。この席が柳斎が家元の茶会で釜を掛けた最後となりました。そうしたことから格別な意味のある茶杓です。



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