駿河なる宇津の山べのうつつにも
夢にも人に逢はぬなりけり
『伊勢物語』の業平東下りで、静岡の宇津ノ谷峠で詠まれた歌です。「蔦の細道」を通って峠を超えました。蔦の細道は平瀬家旧蔵の仁清の茶碗が有名です。それを元に先先代家元愈好斎が襲名の時に永楽妙全で好んだ茶碗で馴染みが深いです。
『伊勢物語』にあるように、「暗う細きに、つたかえでは茂り、物心ぼそく、すずろなるめを見ることと思ふに」とあります。とても暗く細く、蔦や楓が茂っていたので、なんとなく心細くですが、蔦や楓はまったくなく、檜の植林に下草が生えてるといった具合で、当時をイメージするのは無理でした。でも、実際、業平が越えた峠の道を歩いたのはなんともいえない感慨にひたりました。
唯一残念なのは、曇っていて峠から富士山が見えなかったことです。
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