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干支(えと)

干支は12年に一度巡り来ることから、それに因む道具はまことに贅沢なものです。かつてある老道具屋から聞いた話ですが、「裏干支」といって6年後にも使うことができるとのことですが、今ではそんな習慣もなくなり、当たり年だけのようです。ただし兎なら月見とか鼠と大根は年末、牛は天神さんなどゆかりの深いものを趣向にした時などは取り合わせも可能かもしれません。

3代聿斎宗泉の虎の絵茶碗です。聿斎は毎年夏に山中温泉に避暑で赴き、午前中は製図をし、午後からは須田菁華の下で作陶の指導をし、多くの好み物を作り、絵付を行っています。この虎の絵茶碗もそうしたもののひとつです。

丙寅は大正15年(1926)です。この年の12月25日に大正天皇が崩御され、即日「昭和」と改元されています。

戊寅は昭和13年(1938)で、5月に国家総動員法が施行され、いよいよ戦争に向かっていくことになります。

丙寅の年の虎は今年97歳、戊寅の年の虎は85歳です。どちらも永遠に姿形は変わりません。まさに不老不死です。ただし、茶碗が割れてしまうとそれでお仕舞いです。私の干支は寅です。つぎの当たり年の正月に釜を掛けることができるかは不明です。老若不定は世の定めです。そうしたことから今回ご覧いただきました。


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