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朴の葉寿司

奈良の名物というと「柿の葉寿司」ですが、古くから「朴の葉寿司」が吉野地方で作られています。毎年?奈良の黒滝村の出身の社中の方からいただきます、この時期、黒滝村の実家に帰り、お母さんと一緒に作り、自家用以外にも縁故の方に贈っています。今年は一升五合のご飯を炊いて3匹の鯖で150個ほど作ったそうです。毎年、この頃になると家族一同で美味しくいただいています。

朴の葉寿司は江戸時代の中頃から、熊野の漁師が夏鯖を塩でしめ吉野川筋の村に売りに来ました。ちょうど夏祭りと重なり、お祭りのごちそうとして旧暦5月の節句のころにに、握った米の上に生鯖の切り身をのせ、これを朴の葉で包んだものが起源となっているそうです。朴の葉のすがすがしい森の香りがし、防腐作用によって日持ちが可能となっています。

5月の半ば頃になると柔らかくて丁度いい大きさの若葉になります。まず山に行って葉っぱを取ることからはじまります。朴の木の枝から1枚ずつ取り、葉を洗って汚れをとります。丁寧に洗わないと茶色い傷ができます。朴の葉は酢が付いたりきつく取り扱うと黒く変色するのでとても神経を使うそうです。続いて葉っぱを同じ大きさに切りそろえます。次に鯖を薄くスライスした切り身を作り一晩酢に浸けます。鯖はもともと紀州の漁師が近海で捕れたものの腹に塩を詰め込んで塩漬けにし、紀ノ川や熊野川の舟で運んで吉野地方にへ行商していたものです。ところが吉野に着いた頃には塩気が強くなりすぎ、その塩気を和らげるために薄くスライスして飯と一緒に食べる方法を編み出したのが始まりとのことです。そしてご飯を炊いて寿司飯を作り適当な大きさに握り、その上に鯖の切り身をのせて朴の葉に包んで出来上がりです。なお、当初はなれ寿司だったそうですが、醸造酢が普及した江戸中期以降、今日のような酢飯を使うスタイルになったとされています。

朴の木は古代から日本人の生活に深く結びついてきました。その葉っぱは日本の樹木の中で一番大きいとされていて、大きさは20cmから40cmになります。

古くは儀式や写経、食べ物を包んだり、皿のようにのせたり、酒を飲むときの器として使われました。現代でも、朴の葉は香りがよく、殺菌効果があるため朴葉すしや朴葉餅をつくる材料としてつかわれています。そして落ち葉になっても火に強いので、葉の上に味噌や食材をのせてやく朴葉味噌や朴葉焼きといった料理にもなります。また堅い木材で下駄の歯や版画用の板、和包丁の柄やまな板、日本刀の鞘にも使われています。

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